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2022.10.17

竹田写真館の十周年展 特別公開 最終回 父と母









今までカメラマンをやっていても
父母を撮るなんてことは殆どありませんでした。

これも写真館を始めたことによる恩恵です。

いまだにこの歳になっても男というのは
照れがあって面と向かって
親とは本音で喋れません。
たくさんの会話もしません。
感謝を伝えれません。

ただ一年に一度の
撮影の日は、いい写真を撮るために、
他愛もない話をしながら
笑顔を引き出して撮影します。

撮影というスイッチのおかげで
いつもより少し踏み込んで
自分の思いも言えたりします。

でも毎年、今年が最後になるかもしれない
という気持ちも常に持って
シャッターを切っています。

年々そう思います。

切ったシャッターの数が
物語っています。

コロナなどで、
2年ほど撮影が
飛んでしまいましたが
10年で8枚の写真が残せました。

初年度は21枚、次の年が17枚、
翌年29枚、12枚、16枚、24枚、35枚、
コロナになってから最初の撮影は69枚。
一昨日がまさに2022年の撮影日だったのですが、
59枚でした。

最初の方は照れもあって
なんとも少ない枚数ですが、
親の老いと枚数が比例していきます。
コロナも影響していると思います。

最初の方は恥ずかしくて
早く終わらせたいと思っていた時間が
年々愛しくなってきているんでしょう。

今回の展示で初めて
親の写真を並べて見返えしました。

一年一年だと
それほど変わりはありませんが、
10年で見比べると
本当切ないほどの変化がありました。

髪が薄くなり、
白髪が増え、
シワが増え、
姿勢も丸くなり。

自分自身も
もう生涯の半分はとっくに過ぎ去り、
残りの時間を考えるようになってきました。

もちろん両親との残された時間も
刻一刻と迫ってきています。

でもそんなことは
大きな病気になったり、
身近な人が亡くならないと

気づかない、考えないことです。

写真館というのは
そういう
いろんな思いが交錯する場所でもあるんだなと

写真館を始めたことで
改めて気付かされました。

年に一度、両親の写真を収めながら、
不思議な時間を過ごしています。

未来ある時間もあれば
残り限られた時間もあります。

それこそが人生というか

だからこそ
輝けるし、
愛おしいし、
美しい。

それぞれの家族が歩んできた歴史、未来が
写真館にはあるのです。

ホームページの冒頭にあるように

さまざまな想いが重なって
写真館を始めましたが、

一番背中を強く押してくれたのが
東日本大震災の津波で流された写真を
探す被災者の姿でした。

写真が
誰かの気持ちに寄り添ったり
救えることもある
写真の持つ力に触れ、
自分の思いが確信に変わりました。

今回、
「竹田写真館の十周年展」で展示をさせていただいた
お写真が920枚。
今回ダイアリーとSNSで掲載させていただいたお写真が
そのうちの107枚。

このような機会を
設けさせていただいたのも

写真館での撮影が一生に一度のもではなく、
またハレの日だけのものでもなく、

親が子を思い、
子が親を思う。
誰かが誰かを思う。

そんなごく普通の。
もっと日常に寄り添った
身近な存在になれば、

そうなれば
きっと街にはたくさんの
素敵な写真館で溢れるはず。

そんな時代になればという願いでもありました。

最後に展示、掲載を許可していただきました皆さま
改めまして本当にありがとうございました。

以上をもちまして14回に分けて投稿させていただきました。
特別公開終了とさせていただきます。