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2017.09.12

長崎 幻の響写真館 井手傳次郎と八人兄妹物語

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朝晩涼しくなって、今年も夏が終わろうとしています。
少し前の話になってしまいますが、
今春、取材の合い間に立ち寄った恵文社さんにて購入した一冊。
引き込まれる内容で仕事移動の電車にて数日で読破しました。

8人兄妹の1人だった著者の母、
その父が戦前の16年間だけ長崎で営んだ写真館が「響写真館」。
母を亡くし始まった、 幻の写真館の在りし日への旅。
兄弟の話と残されていた1300枚にも及ぶ 莫大なガラス乾板を通じて、
若かりし日の母の姿、 八人兄弟、写真館の営み、長崎、その時代、
そして8月9日をどう過ごしたのかが浮かび上がってきます。

著者のインタビューと残された写真が相まって
その時代をよりリアルに感じることが出来ました。
少し重なるんですが、つい最近映画『この世界の片隅に』を観ました。
人の命だけでなく、日常生活の営み、町並み、文化、夢や希望まで奪っていく戦争。
戦時中は生きる事でいっぱい、終戦後は食べるのがやっと、
そんな時代を前に役目を終えるかのように閉館した響写真館。
時代を思うと最良の選択だったのかもしれませんが、
何故そうせざるを得なかったのか、
という怒りに近い悲しみに胸がしめつけられます。

戦前にも現代のような日常生活の営み、町並み、文化、夢や希望と
豊かな時代があった事。
そしてそんな日常に戦争が徐々に忍び寄って来た事。
終戦から72年。
今でも残された写真が伝えています。