Diary
長崎 幻の響写真館 井手傳次郎と八人兄妹物語


朝晩涼しくなって、今年も夏が終わろうとしています。
少し前の話になってしまいますが、
今春、取材の合い間に立ち寄った恵文社さんにて購入した一冊。
引き込まれる内容で仕事移動の電車にて数日で読破しました。
8人兄妹の1人だった著者の母、
その父が戦前の16年間だけ長崎で営んだ写真館が「響写真館」。
母を亡くし始まった、 幻の写真館の在りし日への旅。
兄弟の話と残されていた1300枚にも及ぶ 莫大なガラス乾板を通じて、
若かりし日の母の姿、 八人兄弟、写真館の営み、長崎、その時代、
そして8月9日をどう過ごしたのかが浮かび上がってきます。
著者のインタビューと残された写真が相まって
その時代をよりリアルに感じることが出来ました。
少し重なるんですが、つい最近映画『この世界の片隅に』を観ました。
人の命だけでなく、日常生活の営み、町並み、文化、夢や希望まで奪っていく戦争。
戦時中は生きる事でいっぱい、終戦後は食べるのがやっと、
そんな時代を前に役目を終えるかのように閉館した響写真館。
時代を思うと最良の選択だったのかもしれませんが、
何故そうせざるを得なかったのか、
という怒りに近い悲しみに胸がしめつけられます。
戦前にも現代のような日常生活の営み、町並み、文化、夢や希望と
豊かな時代があった事。
そしてそんな日常に戦争が徐々に忍び寄って来た事。
終戦から72年。
今でも残された写真が伝えています。