家族
待ちに待った。こんなに何かを欲しいと思ったのはいつぶりでしょうか??
食欲は衰えませんが、物欲は年々なくなり、なんでもいいとなっていた自分に。
この懐かしい気持ち、、、。
遡ること写真館を初めてしばらくした頃に、この写真集の存在を知りました。
いろいろ調べてみましたが、
1991年に刊行されていたこともあって、すでに市場には流通していなくて、
一度見かけたときには手が届かない高価な写真集になっていました。
とにかく見てみたい
昨年はじめ、東京都写真美術館の図書館で夢が叶いました。
長い時間をかけて初めて出会えた、深瀬昌久さんの写真集「家族」。
1ページ1ページめくるのがなんとも言えない、
残りが少なくなってくるとまたなんとも言えないこの気持ち、、、。
もう所有することは諦めていて、見れただけでも大満足でしたが、
この度新装版が発売、待ちに待った写真集がようやく手元に届きました。
もう説明は不要で、一度写真集を見ていただければ伝わる何かがあると思います。
『家族』
「ピントグラスに映った逆さまの一族のだれもが死ぬ。
その姿を映し止める写真機は死の記録装置だ」
そんな言葉を残した深瀬昌久は北海道北部の美深町で
写真館の三代目として産まれた。
写真の勉強のため上京したまま後を継がず、十数年が経ち帰郷、
弟は写真館を継ぎ家族を持ち、妹にも家族ができ
大所帯となっていた深瀬家の家族写真の撮影を提案。
ただ普通の家族写真ではなく、腰巻をした妻、
翌年にはヌードの女性など5年にわたって撮影を続ける
「三代目くずれである私の、パロディー」と本人が話している通り、
伝統的な家族写真の形式を皮肉ったと思われる。
その後10年ほど間が空くが、父の年老いた姿を見て撮影を再開、
その二年後に父は逝去、三年後には深瀬写真館廃業、弟夫婦は離婚。
20年近く撮影された家族写真はまさに深瀬家の家族の遺影であり、
深瀬写真館の遺影とも言える大作。